金融危機勃発

【著作】
在原 零
(ペンネーム)

第二海援隊

1998年2月

【価格】
\1,680(税込み)

1998年の秋に世界的に株価が暴落し、円が対ドルで一気に147円から110円台にまで爆騰したよね。中には1日に10円以上も円高が進んだ日もあった。長銀と日債銀が破綻して国有化された。あんまり言うと自慢みたいに聞こえるから黙っていたけど、俺はそれに近い状況になることを2年ぐらい前から予測してたよ証拠はこの小説だ

日本の政策によって資金が海外に流れゆっくりと円安が進むが(流動性漏洩)、あるショックをきっかけにヘッジファンドが円売りポジションを巻き戻し(アンワインド)にかかって円が急騰する。世界各国の株価は暴落、クラウディングアウト(貸し渋り)が起こって産業にも大打撃。

そうなったら日本政府がめちゃくちゃにカネをばらまかないと世界経済はどうにもなりまへんな、というものだ。その後の世界経済は、おおむねこのシナリオの中で進んだといっていいだろうね。

もちろん俺にも、それがいつ起こるかなんてわからなかったよ。だけどいずれ起こるだろうから96年に原稿をあらかた書き上げて、97年にいくつかの出版社に持ち込んだ。

そのころにはまだ日本の銀行が潰れるなんてシナリオは信じてもらえなくて、なかなか採用されなかった。97年秋に山一證券・拓銀なんかが潰れてからようやく、第二海援隊さんだけが「出版しましょう」と言ってくれたんだ。正直、出版が現実のクライマックスに間に合ってよかったぜ